812GTSは本当に値上がりしているのか?買取データで検証
結論から言うと、812GTSは生産終了からまだ日が浅いにもかかわらず、買取相場が新車価格の水準に届く、通常の値落ちとは逆の動きを見せています。
812GTSの走行距離帯別 買取基準価格(標準仕様)
- 走行1.5万km以下: 2021年式 4310〜5315万円/2022年式 4675〜5785万円
- 走行1.5〜3.5万km: 2021年式 3880〜4975万円/2022年式 4225〜5415万円
- 走行3.5〜6万km: 2021年式 3545〜4660万円/2022年式 3865〜5060万円
このデータの読み方
- 新しい年式が高い「逆転」状態: 中古車市場データでは2022年式(4675〜5785万円)が2021年式(4310〜5315万円)を上回っており、「1年落ちるごとに安くなる」という中古車の常識と逆の並びです
- 新車価格級の水準: 日本での新車ベース価格は4523.4万円。走行1.5万km以下なら2021年式・2022年式ともに上限がこれを上回ります
- 走行が伸びても大台を維持: 走行3.5〜6万kmでも2021年式3545〜4660万円、2022年式3865〜5060万円が目安です
年式×走行距離の詳細はフェラーリ 812GTSの買取相場ページで確認できます。本記事では値上がりの理由と今後の見通しに絞って解説します。
※主要な走行距離帯を抜粋した当社買取基準価格にもとづく目安です。年式は初度登録ベースで、日本でのデリバリー開始が2020年10月のため、国内の初度登録は2020年秋以降に分布し、中古車市場データの集計対象は2021〜2022年式が中心です。走行距離・オプション・色・修復歴で変動します。
812GTSが値上がりしている4つの理由
812GTSの値上がりは偶然ではなく、構造的な理由があります。大きく4つに整理できます。
理由1: 約50年ぶりの量産フロントV12スパイダー
812GTSは、6.5L自然吸気V12(800cv/8500rpm)を積む812スーパーファストのオープン版として2019年9月に発表されました。台数限定のないシリーズ生産のフロントエンジンV12オープンとしては、1969年の365GTS4(デイトナ・スパイダー)以来約50年ぶりの存在です(中間期の550バルケッタ等はいずれも台数限定車)。
理由2: 受注終了・生産終了による供給封鎖
新規受注は2022年2月に締め切られ、バックオーダー消化を経て2024年に生産を終えたとされます。もともとアロケーション(割当)制で新車購入自体が難しかったため、供給の完全停止が納車済み個体のプレミアを直接押し上げています。
理由3: 後継モデルの価格上昇による「床上げ」
後継の12Cilindriスパイダー(2024年発表)は日本価格6241万円〜と、812GTSの新車ベース価格4523.4万円から約1700万円上がりました。この価格帯で800cv級の自然吸気V12オープンを新車で手に入れる手段は事実上なくなり、中古相場の床を押し上げています。
理由4: 812系限定車の高値と海外相場の下支え
812系にはオープンの限定車・812コンペティツィオーネA(世界599台・別モデル)があり、海外では2026年に484.5万ドルの成約例が出るほど高い評価を受けています。米国の成約集計では812GTS自体も平均売却額約56万ドルと高値側の更新が続いており、頂点の評価上昇が標準相場を下支えしています。
812GTSの値上がりは今後も続く?相場予測
先に断っておくと、相場の予測に確実なものはありません。そのうえで、現時点のデータと市場環境から見通しを整理します。
短期(2026〜2027年): 高値安定〜上伸が本線
新規受注は2022年2月で終了し、生産も2024年に終わったとされるため、供給が増える余地がありません。後継12Cilindriスパイダーの価格(6241万円〜)が中古相場の床を支える構造も、短期で崩れる材料は見当たりません。ただし、中古市場の年式別価格は走行距離・オプション・色といった個体条件で序列が入れ替わるため、「新しい年式ほど常に高い」とまでは言えません。数千万円クラスの車は為替や海外景気の影響も受けやすく、短期的な振れはあり得ます。
中期(2028〜2030年): 電動化の進行と二極化
電動化・ハイブリッド化が進むほど、電動デバイスを持たない6.5L自然吸気V12というパッケージの希少価値は意識されやすくなります。一方で、走行距離が伸びた個体や整備歴の不明な個体との評価差が広がる「二極化」も進むと考えられます。低走行・記録簿完備の個体ほど恩恵が大きい展開が本線です。
長期: 「800cv自然吸気V12オープン」としての記念碑的な価値
後継の12Cilindriスパイダーも自然吸気V12(830cv)を継続しているため、812GTSが「最後のV12」になるわけではありません。それでも、受注済みの個体しか存在しない812GTSの現存数は今後増えることがなく、電動化時代における評価の土台は固いと考えられます。ただし相場は水物です。値上がりを前提にした保有判断よりも、ご自身の乗り方と維持コストを軸に考えることをおすすめします。
値上がりの恩恵が大きい812GTSの個体条件
同じ812GTSでも、値上がりの恩恵をフルに受けられる個体と、そうでない個体があります。査定で差が付くポイントを整理します。
高く評価されやすい条件
- 低走行: 2022年式・走行1.5万km以下は4675〜5785万円と、中古車市場データで最も高いレンジに乗ります
- オプション・ボディカラー: フェラーリはオプション装着率が高く、実勢の購入額がベース価格を上回るのが通例です。内外装のオプション構成や色は、中古市場で年式の序列が入れ替わるほど価格に効く要素です
- 記録簿・整備歴: 正規ディーラーや専門店の整備記録が揃っている個体は信頼性の面で評価が大きく上がります
- 無事故・純正状態: この価格帯では修復歴の有無が数百万円単位で効きます。社外パーツ装着車でも純正部品の保管があれば減点を抑えられます
年式と同じくらい走行距離が効く
同じ2021年式でも、走行1.5万km以下なら4310〜5315万円、走行3.5〜6万kmでは3545〜4660万円が目安と、数百万円の開きが出ます。生産期間が短く年式差が小さい812GTSでは、走行距離と状態が価格を決める比重が大きいと考えてください。電動リトラクタブルハードトップなど機構部の状態も査定で見られるポイントです。
クーペの812スーパーファストも同じ構図
クーペの812スーパーファストの買取相場も、同じ800cv自然吸気V12の供給封鎖という構図で堅調です。また812GTSは、事故歴のある個体や不動状態の個体でも金額が付くケースが多い車種です。詳しくは812GTSの事故車・不動車買取の解説をご覧ください。
値上がり中の812GTSは今売るべきか?タイミング判断
「値上がりしているなら持ち続けた方が得では?」という質問をよく受けます。正直に言えば、答えは個体の状態と乗り方次第です。判断のステップを整理します。
STEP1: 相場局面を把握する
現在は買取基準価格3545〜5785万円と新車価格級の水準にあり、売り手に有利な局面です。まずはご自身の個体の年式・走行距離でのレンジを確認しましょう。
STEP2: 維持コストと劣化リスクを天秤にかける
フェラーリは動かさなくても維持費がかかり、乗らない期間が長いほどゴム類や油脂類の劣化が進みます。相場の上昇分よりも保管劣化による減額のほうが大きくなるケースは、この価格帯の車で実際に起きやすいパターンです。
STEP3: 売ると決めたら短期集中で動く
- 車検証・記録簿・取扱説明書・スペアキー・保管している純正部品を揃える
- オンライン査定で概算金額を確認する
- 実車査定で正式な金額を確定する
- 金額に納得できたら契約・引き渡しに進む
STEP4: 迷ったら現在価値の把握だけ先に
売る・売らないを今決める必要はありません。ただ、ご自身の812GTSの現在価値を知っておくだけで、乗り続ける・手放すの判断材料が揃います。創業37年・輸入車買取専門の中古車市場は全国対応の無料査定を行っています。812GTSの買取相場ページで走行距離帯別のレンジを確認するか、無料査定で個体ごとの金額を把握しておきましょう。